アートメンチ.com

アートについて悩んだあげく ダメになっていくブログ。

魔界へヨウコソ


永瀬正敏

Aの記憶~永瀬正敏がみた青森~をテレビで見た。

 

見慣れた青森空港に永瀬正敏というモンスターがいるってのが

非現実過ぎるー、なんかいつもより空港がお洒落に見えるぅ

 

番組は永瀬正敏が巡った青森の風景を流していく。

職人の技、震災後の八戸の港、

青森出身のフォトジャーナリスト澤田教一の家、

そして、青森の自然とアートの融合と題して、

行合岬の崖の上で高校生を、

青森県最大の湖おがわら湖で踊る女性、

廃工場で少女と球体関節人形

青森の鬼才、寺山修二主催の天井桟敷を再現したスタジオ撮影。

そして、トンネルの中で津軽三味線を引く二代目高橋竹山

 

三味線の音がじゃわめくなか、永瀬が巡った青森の自然風景が映し出される。

印象的だし、やはり青森ってこの自然の絵と三味線の音ってのは

随分よく合う。

 

などなどなど

どんどん企画を出して行ったみたいで、どんどん取っていく。

三回くらい季節をずらして、青森を回って写真を撮ったらしい。

青森の人は純粋だと、感想を言っていた。

 

永瀬正敏が影響を受けている祖父は写真館を営んでいたようだ。

そこで、記念写真やポートレイトをとりつつ、写真に向き合っていたらしい。

その影響の為、永瀬自身もポートレイトを

青森の町々で出会った人々をもまた撮っていく。

 

その写真をみて、青森の随所で撮った物もそうだが、彼は人物を撮る。

永瀬はまた、ファッション雑誌に連載を持つ、ファッションフォトグラファーだ。

写真の専門はファッション系で、そこでももちろん人物を撮る。

服を主役に人物もまた撮っていく。

それは彼の祖父から脈々と繋がる行為なのだろう。

祖父からの影響でカメラを始めた事を永瀬は遺志を継ぐと表現した、

彼の祖父はカメラをだまされて、写真館はつぶれてしまったらしく、

それをまた、DNAのリベンジとも表現していた。

 

今回のテレビ番組で、僕が感じたのもまた

青森を主役に人物を撮っていく永瀬正敏だった。

 

 

番組の最後で、彼が青森での写真展の企画を依頼された時に

最初に浮かんだイメージだという

雪の上に寝転ぶねぶたの衣装をまとった女性が撮影されていた。

まっ白い雪の中で赤黄青の色をまとった女性が

妖美に寝転がっているのは鮮やかだ。

 

「ああ、妖怪とかモンスターとかそんな感覚だ。」と僕は思った。

彼が撮った青森はもしかしたら魔界なのかもしれない。

寺山修司という怪物がいて、

強烈なイメージを青森が持っているというのもあるし

元来、永瀬正敏がとるファッション写真も、

妖美な写真が多いみたいだというのもある。

 

でもでも、見慣れぬ物を見慣れぬ技で創り出す職人や

真っ二つの船が散乱する港、戦いの中、亡くなったというジャーナリスト、

崖の上に明かりをもって立つ黒ずくめの少女達、

水面で踊る女性、廃墟で人形と遊ぶ未成熟の少女

そして、天井桟敷に、魔界特有の弦楽器の音。

ポートレートは魔界の住人達なのだ。

 

魔界というのは少し突拍子もないの言葉だが、

永瀬正敏が見た、そして、切り取った、青森というのは、

やはりなにか異質な土地だったのかもしれない。

 

そういえば、みうらじゅんもまた、青森はファンタジーだと言っていた。

http://www.1101.com/shimaguni/jun/2008-01-20.html

 

あと、タイトルについて、Aomoriの記憶だろうと単純に思っていたが、

色々含みのあるタイトルだった。Another worldという意味のAnotherのAも入れたい。

 

”番組タイトル「Aの記憶」については

「“A”は青森のA、ABCの最初のA、アートのAといろいろな意味がある。

可能であれば死ぬまでに全部の県を回りたいと思っている。

今回はその最初の一歩で、きっかけを頂いたAでもある。

僕にとって一生を懸けて撮らせていただくテーマを与えていただいた」

と番組への思いを寄せた。”

http://news.thetv.jp/article/27940/

 

 

 

雪原に横たわるハネト

 

 

最後に公式のポスター画像がないので、

こちらの画像を貼ってみる。

公式で出たら張り替えます。