象は何を考えてたたずむのだろう
STEPHAN BALKENHOL シュテファン・バルケンホール
具象表現だが、必要最低限の人体彫刻、
ノミ後が印象的な木彫彫刻。
抽象的な具象というのか、
実際に彫り出された像は、エブリマンと呼ばれる、
誰でもなく、誰でもありうると言う意味合いの、
白シャツにズボンでなんの特徴もない立ちのポーズの男性像だったりして、
個性が無いのに個性的であり、いるのにいないかのような存在感だ。
その他にも象の頭をして体はまたシャツにズボンで
ポーズもなし特徴のない、感情もなさげのエレファントマン。
しかし、この彫刻の圧倒的な存在感はどこからくるのだろうと思わせる。
そして、その答えはやはり素材の力によるものらしい。
"特定の物語を持たないバルケンホールの作品は、彼が素材に徹底的に向き合っていることをも感じさせます。鑿(のみ)あとや、ささくれにそのまま彩色が施された作品は、繊細かつ力強く、彼が自発的な作品の生成を重要視していることを示しています。"
木という素材は、何かとそれだけでずるい、
というのは、やはり温かみはあるし、
生命感も多分にあるし、個性も出やすい。
そして、その木を、
ミニマルな具象彫刻に置き換えた事が
バルケンホールの意向にも繋がるのだろう。