アートメンチ.com

アートについて悩んだあげく ダメになっていくブログ。

記憶の空間


アントニ・ゴームリー Antony Gormery

1950年生、イギリス、ロンドン出身


reference/参照





ゴームリーの作品は人をかたどりして

それを石膏や鉄などの素材で形に直す、人体彫刻に見える作品だ。


しかし、それは人体という「空間」を意識した作業であり、

例えば、ゴームリー自身を石膏像に置き換えた時に

その彫刻の中には、ゴームリーが居た空間が出来、

ゴームリーの精神や思い出や色んな物が詰まっていた空間を

再構成した物がそこには出来上がる。


そして、

その思い出が詰まっていた人体という場所であるゴームリーの作品は

世界中いたるところに展示してある。


僕が行った事のあるエキシビジョンでは

小さな部屋の床から壁から天井から

その人型の境界線をもった場所・空間が生えていた。





そしてそして、もう一つ、ゴームリーの作品。

ロンドンのナショナルギャラリーの前の

トラファルガースクエアーには四つの柱(台座)があるのだが、

そのうちの三つは、詳しくは調べてないが神話や歴史的英雄の像が

柱の上に展示されている、

一方、その中の一つには毎年、現代のアーティストが作品を展示している。


2009年、アントニー・ゴームリーが選ばれ、展示したプロジェクトは

会期中100日間毎時交代制で深夜も一度も途切れる事無く、

応募して選ばれた市民がその柱の上に登り、

まま、何をしても良いのだが、

演説する人、踊る人、一時間という持ち時間中座って本を読む人などなど

総勢2400人がその柱の上に居続けた。



作品名は 「One and Other」

 

この柱(台座)の上に2400人が交代で作品に。

 

 



その意味を推測するに、まず、ゴームリーの作品は

その会期中ずっと柱の上に確かに展示され続けたという事である。

そのアート作品が置かれる場所に、代わりに人が居続けたのである。


人という空間の代わりにかたどりした人体彫刻を作った手法の

簡単にいえば、逆の事をゴームリーはしたんだなぁと

僕は思った。

それを想って、本を読んでるだけの人をみると

ゴームリーすげーってなる。

読書してるだけなのに。



まま、正確には、人が交代している間は柱の上には

作品がなくなる瞬間もあるが、

人を上に運んでいるクレーンが動いてて、

それを見ているのも面白かったが。


 

クレーン。


交代中。