アートメンチ.com

アートについて悩んだあげく ダメになっていくブログ。

野菜食ってゴー

 
リクリット・ティラバーニャ Rikrit Tiravanija
1961年生 アルゼンチン生まれのタイ人

しかし、アメリカ、ドイツ、タイなどなど、外交官の父について、
様々な土地、環境、習慣の中で、適応しつつ過ごす、
この作家の作品をみるにはこの彼の遊牧民の様な環境を理解する事が重要である。

一つの文化に深く接する事をしなかった代わりに、
様々な文化と関係し適応たり出来なかったりしてきたのではないかと空想する。




Reference/参照

彼の作品は、リレーショナルアートと呼ばれる
関係性を重視したアートと分類されるだろう。
それは美術館という非日常の空間が演出される場の中に
彼はその土地の料理や彼のアイデンティティの一つであるタイの料理を用意し
展示を見に来た人と食事という日常にある行為を展開する。
その非日常の中に発見される日常の中で
見に来た人は、一緒に来た人と、見に来た他の人と、ティラバーニャと
会話をしたり、なんかワイワイする。
リレーショナルアートの言葉通りにいうと、関係性を持つ。のである。

その場をティラバーニャは作ったのであり、
その場の関係性は参加した人々が作っているのであり、
彼の作品にはタイトルがない、という意味でアンタイトルとなっている。
そして、疑問となるのが、
はたして、この作品の作者とは本当にティラバーニャと言えるのだろうか
と言うところである。

彼は確かにその場を作る為にその土地の料理のレシピを研究し、調理したりと
美術館の中に色々な物が用意はされた。
しかし、一番の重要な要素となる、「人」は外から来て、
なんだったら、その人達がその中で作品となる場の雰囲気を作っていったのだ。

さて、これは冒頭で強調してみた、
彼が色々な環境をグローバルに体験してきた事と関係していく。
それはインターネットなどで世界が密に関係を持ちやすくなった現代、
情報の受信者が簡単に発信者となり、発信者が受信者になりうる時代の反映として、
観覧者が作者に、作者が観覧者にもなりうるという事につながって行き、
ティラバーニャの作品はその土地にある文化と自分が持ってきた文化を
美術館の中でミックスして、さらに人々がその中で場を作っていくという
なんか参加してみたくなる楽しげな展示なのです。