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アートについて悩んだあげく ダメになっていくブログ。

一瞬を切り取る目

エリザベス・ペイトン Elizabeth Peiton
1965年生、アメリカ出身

エリザベス・ペイトンの描く一連のポートレートは、青春と、時代の雰囲気という
移り変わりやすい一瞬をカメラのシャッターを切るようにとらえた作品だ。

Sid Vicious


彼女のポートレートに描かれた人物は、
セックスピストルズのシド・ヴィシャス、などのミュージシャンや、
イギリスの画家、デイヴィッド・ホックニー
マシュー・バーニー、ジェイク・チャップマンという同時代のアーティスト、
その他に、彼氏、友達、家族、自分。などなどが、全て同列に描かれる。
というのは、モデルを立てて、ポーズをとってもらって、描くのではなく、
写真を撮ってそれを元にして描いたり、
有名人の場合、雑誌のフォトグラフィを使うのである。

彼女がその人生でみた輝く人々。
彼女の青春の中の人々の一番まぶしい一瞬を切り取るのである。


”Peyton’s works directly relate to photography. It is their lens-like ability to capture fleeting moments  of light and colour, and to convey both the brightness and the brevity of youth, that give  her paintings their depth and poignancy.”

”ペイトンの作品は直接フォトグラフィーに関係している。
それは瞬間瞬間で変わっていく光や色などを捕えるカメラのような効果を発揮している。
そして、それらは彼女の作品に深淵や激情を与える
青春の明るさや、はかなさの両方を表現しうる。”

Refference/参照



荒い訳しではあるが、
彼女の作品のまぶしいくらいの色使いや瞬間をとらえる絶妙なタッチも良いのだが、
やはり、彼女のその「目」、ファインダーを覗く目線が巧みなのだろう。
そして、その目が人物の先に何をとらえているかという答えとして、



”A painter of modern life, Peyton's small, jewel-like portraits are also intensely empathetic, intimate, and even personal. Together, her works capture an artistic zeitgeist that reflects the cultural climate of the late-twentieth and early-twenty-first centuries.”

”現代生活に根差すペインター、ペイトンの小さく、宝石のようなポートレイトは
熱烈で、共感しやすく、親密で、それでいて個人的だ。
そして、同時に彼女の作品は20世紀後半から21世紀始めの
文化的な雰囲気を反映した時代の精神性を捕えている。。”

Refference/参照
 

 

Marc Jacobs / Eminem / Michelle Obama

 

青春の明るさ儚さ、時代の雰囲気と共に、
彼女の個人的なそのモデルとの関連性は簡単には線引きしがたく
彼女と言う青春からみた、彼女と言う時代からみた人物画であるが故に、
同時代に生きる我々にもおよそ同じ距離で
その絵からモデルを見る事ができ、
共感する事ができるのだろう。
そして、未来の人々にとって、彼女の絵はこの時代をのぞく窓の役割を果たすかもしれない。
 
 

ちなみに一つ前に書いたリクリット・ティラバーニャという作家と

結婚していたのだが、今は別れている。

 

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