アートメンチ.com

アートについて悩んだあげく ダメになっていくブログ。

戦闘機に乗って初デート

フィオナ・バナー  Fiona Banner

1966年生、イギリス出身

 

言語という記号からイメージを作る

フィオナ・バナーは、2001年ターナー賞にノミネート時は、

その言語風景と表現したらいいのか、

アルファベットで表現された作品を作る女性作家だった。

言葉という細かく正確に伝達するには、優れているが、

同言語圏以外の人には伝わりにくいメディアを使い、

その言葉の記号的な役割を最大限に引き出し、

記号からイメージを引き出す、引き起こすような作業でもって作品を完成させてきた。

 

 

 

 

例えば、それは戦争映画を全てテキストにおこして、

そのテキストを一枚の平面に整列させたモノや

巨大な円柱状の黒い彫刻作品があると思えば、それはピリオドを表していたりする。

特に映画をテキストにおこす作品は、映画という約二時間の時間を

一瞬で観る事の出来る(内容を理解出来るかは別として)モノに変換させた事が重要だろう。

 

 

 

戦闘機というイメージ

その後、フィオナ・バナーは、作家としてスタートする以前から

興味があったという戦闘機を使った作品を制作する。

イギリスのテートブリテンの巨大なホールに巨大な戦闘機がぶら下げられた。

それともう一つの戦闘機はピカピカに鏡面になるまで磨かれて、腹這いにされ置かれた。

それは、説明ではぶら下げられた戦闘機は、鳥かごとしての意味を持ち

同時に捕えられた野獣のようなイメージを持ったり、

邪推してしまうと、女性の作家が戦闘機を使って作品を作るというと、

男性器的なイメージがあるのかと勘繰ったりしてしまうのだが、

 

Harrier and Jaguar 2010

 

 

これは

 

“For Banner these objects represent the 'opposite of language', 

used when communication fails. ”


“バナーのこれらの作品はコミュニケーションが失敗した時に使われる

「言語とは反対にあるモノ」が表現されている。”

 

Reference/参照

http://www.tate.org.uk/britain/exhibitions/duveenscommissionseries/fionabanner2010/default.shtm

 

というのは、

イメージから記号を引き出していったという、今までとは逆と言える作業をしたのかもしれない。

はじめにこの戦闘機の名前がHarrier-hawkというのだが、

それを鳥かごや動物かする事によって、

その戦闘機の名前の由来となったMadagascar Harrier-hawk(マダガスカルチュウヒダカ)という

鳥のイメージに戻されているのだ。

 

 

 

イメージから言葉を紡ぎだす

“In bringing body and machine into close proximity she explores the tension 

between the intellectual perception of the fighter plane and physical experience of the object. ”


“近接した吊るされた体と機械の中に、彼女は戦闘機の知性と物体の肉体的経験の間の緊張感を記した。”

 

戦闘機の、戦争で使われるモノという荒々しいイメージと、

その形・フォルムから来るデザイン性にもイメージの多義性があり、

テキストで戦闘機と書くだけでは表現しきれないモノがやはりあるのである。

 

 

そして、

彼女が幼少のころ父親と見た戦闘機が目の前を通り過ぎたと時から心ひかれる存在になったというエピソード。

からは、その通りすぎる一瞬の中で様々な事を想ったかも知れないし、

それを後から語るならば、それは二時間という時間が必要かもしれないモノだという時間性にも

考えが及ぶのだろう。

 

今回は好き勝手、思考が飛んでしまった。