アートメンチ.com

アートについて悩んだあげく ダメになっていくブログ。

皮膚という境界面

エルネスト・ネト Ernesto Neto
1964年生、ブラジル出身

ネトは布や香辛料や、簡単にいうとストッキングの布の様な素材を
使ってインスタレーション作品を作る。



まず、はじめに、ネトがとあるディスカッションの場でのテーマとして
設定した問いをみてみたい。

“Culture separates, bodies unify. 
How can we on a fragmented cultural planet, 
topolo-build a level of conviviality and habitability, 
beyond institutional skins, under a gravitational field?”

“文化は分離して、肉体は統合されていく。
細分化された文化的な惑星、
重力場の下に組織化された皮膚の向こう側にあり
陽気な高揚感と居心地の良さというレベルでの位相幾何学的構造である惑星の上で
我々はどのように存在できるのか。”


Reference/参照
http://nicolaanthony.wordpress.com/2012/01/23/ernesto-neto-spaces-of-transformation-edges-of-the-world/

訳しにくい。というのも、
この文章を前情報なしに理解はしづらい。
まず、位相幾何学ってなんだろう。それを一言で表すのが難しい。
が、この際なので、連続して変化する事とここでは定義してしまいたいと思う。

では、細分化された文化的な惑星とはなにか、
ここでいう惑星とは肉体の事だろうか、
続く、重力場の下に組織された皮膚というのも肉体の事だ。
彼の作品では、ビジュアルを見ると想像しやすいだろうが、
肉体というよりもその内部のスペースが重要だ。

そして、その肉体の外側には、彼の問いの言葉を使えば、
文化、カルチャーがある。
変化し続ける現代文化に対して、
連続し変化していく我々の肉体の内部、例えば精神はどのように変化するのか、
と、大幅な意訳をしてしまえば、とりあえず、納得がつく。



“This question is what Neto attempts to address through his artwork. 
Using his bodily sculpture he cuts through any barriers of culture. 
The spectator is invited to enter the spaces, tunnels, and crevices of his art. 
His porous forms represent an ‘internal landscape’. ”

“この問いはそのまま彼の作品を読み解くという事とつながる。
肉体的な彫刻を使う事で、彼は様々な文化の壁を切り崩す。
それを見る者は彼のアートの場所、トンネル、切れ目に招待される
その穴あきの浸透性のある形は、内部の、(体内の)風景を表現している。”


なるほど、内部風景に見る者は迷い込むのである。
そして、我々は、彼の作品の特徴の一つでもある、
五感を使った表現、例えばそれは、触れて感じる作品、
香辛料を使いニオイのある作品などにより
その作品と一体化していく。

そして、肉体の内部の風景の中に
肉体である私達が入ると、ここで二重構造ないし、三重構造が生まれる。
内に内に世界が広がり、その逆で、外側の世界にも注意が行くのではないだろうか。
外にあるもの文化・カルチャーとはなんだろう。

それは、変化しつづけるモノであり、そして、
彼の作品が提示するように、我々の肉体にぴっちりとくっついて
覆っている、第二の皮膚の様なものなのだろうか。